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コロナ禍のさなか、ベーグルフランチャイズの開拓を

西荻窪に新しい形のフランチャイズを持ち込む

コロナ禍の中でビジネスを始めることは容易ではない。なぜなら、自分の店を持ちたい人達は、従来のコストや利益といった課題だけではなく、コロナに影響されにくい市場を探さなくてはならない。一つの戦略としては、テイクアウトに重きを置くことだ。そこで、小松(こまつ)さんはベーグル屋のオーナーというチャンスをつかみ、あるきっかけで知り合った夫婦が経営している板橋店から、西荻にベーグルサンドイッチという新たなコンセプトを運んできた。


小松さんは元々岩手県の出身で、十五年前に上京したそうだ。最初は東京で会社員をしていたが、縁がありベーグル屋で働き始めたのがきっかけで、西荻のアオヤギベーグルの店長になったそうだ。

「お店をやりたいと思い始めていて、何にしようかなって感じだったんですね…。前の会社員だった時のお客さんで、ベーグル屋を始めた方がいて、それで働かせていただけて。その時はベーグル屋をやるってことではなかったんですけど、なにかしら独立したいっていう話で、『いいですよ』ってお手伝いさせていただいたって感じです。」


西荻にあるアオヤギベーグルは、実は板橋にあるアオヤギベーグルのフランチャイズなのだ。


板橋店は2020年の九月に上板橋と中板橋にオープンした。小松さんは最初は板橋のアオヤギベーグルで働き、勉強したという。 

「前の会社の時に、ずっと働き続けるのも現実的じゃないなって思って、自分でなんかできることがあったらいいかなって思って始めました。」


西荻のアオヤギベーグルは2021年の七月、コロナ禍の中でオープンした。店の物件を探すにあたって、なかなか理想にあったものが見つからず、苦労したとのこと。最初は世田谷でオープンするつもりだったが、友人のすすめもあり西荻に落ち着いたという。

「あんまり来なかったんですけど来てみたら結構賑わっているって。土日は結構人がいますよね。それで結構いいなって思いましたね。新宿とか渋谷とかよりかは落ち着いてできるかなって感じです。」


アオヤギベーグルの場所は元々花屋だった。建物自体が古いため家賃はあまり高くない。だが、木のぬくもりが感じられる店内はそんな古さを感じさせない。

「インテリアは板橋の方のオーナーと相談して決めました、壁の色とか。食器の返却台の板とかもメルカリで買いました。あとは大工さんにお願いして。おしゃれな感じにしたくて、色々カフェとか行きましたね。」


訪れてみるのと実際店を開くとのでは町の印象は変わるだろう。幸運なことに西荻の雰囲気は小松さんに合っていた。

「全然いいですね。西荻って下町感が強いっていうか、板橋の方のお店は結構インスタとかで集客してる感じで。ここもインスタやってるんですけど、来る人はほとんどが近所の方というかインスタを見ていない方もいる感じなので。SNSもやってますけど口コミとか、一回来てくれてまた来て下さる方が多いので。なので会話とかが結構多くて、色々話を聞けていいなって感じです。六割くらいはお馴染みのお客さん、みたいな感じなので。」


アオヤギベーグルのお客の七割から八割が二十代三十代の若い女性だという。そのためSNSをみて来店するお客ももちろん多い。

「これ作ってくださいって、インスタの画面を見せてくれる方もいますね。」


西荻のアオヤギベーグルに並んでいる商品は板橋の店舗で作られている。「板橋の方で粉から作って、こねて、焼いてます。」


アオヤギベーグルオリジナルのクリームチーズはクリームチーズに豆乳を混ぜているため、あっさりと食べられるそうだ。


カスタマイズ化されたベーグル

西荻店のユニークな点はベーグルサンドイッチの具材を好きにカスタマイズできることだ。メニューは基本的に板橋店が決めているそうだが、期間限定のベーグルは小松さんが考案したものもあるそう。クリスマス限定で販売したストロベリーとチョコオレオのクリームチーズにいちごを挟んだベーグルもその一つだ。

「他のベーグル屋さんってシーズンごとに具材とか変わったりすると思うんですけど、ここってほぼ一定なので、季節ごとになにか変わったものを入れたいなって思いました。」




アオヤギベーグルではベーグル、トッピング、クリームチーズの種類が豊富だ。それぞれ人気のものを伺った。

「ベーグルの人気なものはプレーンで、その次は全粒粉ですね。ベーグルサンドイッチはたぶんパストラミビーフ(卵、パストラミビーフ、チェダーチーズのサンドイッチ)が一番ですね。その次はこのロックス(プレーンクリームチーズ、サーモン、レタス、オニオンのサンドイッチ)とか。トッピングだとサーモンとかパストラミ、合鴨も人気ですね。」

お客にとって、ベーグルやトッピングにはあまり馴染みのない種類のものもあるだろう。

「全粒粉って何ですか?とか。パストラミビーフってなに?みたいなお客様はたまにいらっしゃいます。」

わからないことがあっても小松さんに聞けば丁寧に教えてくれる。

オレオバナナやストロベリーマンゴーといった他のお店ではあまり見られない珍しい甘いフレーバーのベーグルサンドイッチも人気だ。

「オレオバナナはチョコバナナみたいな感じです。甘いベーグルで人気があるのは、今はあんこバターです。前まではストロベリーマンゴーが人気だったんですけど、季節的にやっぱり今はあんこが人気ですね。」

小松さんの一番好きな組み合わせのベーグルサンドイッチも教えていただいた。

「ほうれん草のベーグルに、セミドライトマトとバジルのクリームチーズと合鴨とオニオンですかね」


アオヤギベーグルのオーナーは独学で試行錯誤しながら、今のベーグルにたどり着いたという。お客からは本場の味に近いと評判だそうだ。

「お客さんからはニューヨークの味に近いって言われますね。ニューヨークで実際ベーグルを食べたことある人は、ここのがその味に近いからって買ってくれますね。」

ドリンクで人気なのはアオヤギオリジナルブレンドのコーヒーだそう。




一度焼いたベーグルはその日中に売らなければならない。フードロスはできる限り出さないように心がけている。

「焼いたものは持ち越せなくて、その日のうちに売り切らないといけないのでそのまま売り切る感じになります。平日と土日だと売れる量が違うので調節しながらって感じですね。ロスがあまり出ないようにしてます。あとはフードロスのアプリがあってそこに出店したりしてます。買いたいって人がいたら、売れて、取りに来てもらうって感じです。タベテっていうアプリです。」



ベーグル屋ともあって、普段からテイクアウトをするお客が多いが、オミクロン株が流行りだしたころは九割がテイクアウトだったという。

「オミクロンの前はもうちょっとイートインいたかもしれないですね。イートインを制限していた時もありました。」


コロナウイルスはここにも影響を与えていた。アオヤギベーグルは、こじんまりとした個人飲食店が多く並ぶ平和通り商店街に位置する。

「ここら辺はみんな顔見知りですね。仲いい方だと思います。」


商店街のイベントにも積極的に参加しているそう。

「イベントはこの前スタンプラリー?子供がスタンプを押してっていうイベントは参加しました。クリスマスの時ですかね。」


課題と展望

小松さんは基本一人でお店を経営し、管理している。一人でお店を経営するのはハードだろう。

「(一人で働くのは)さみしいとは思わないですけど、日通しで働いていて結構体力的にもきついんでやっぱアルバイトさんいてくれたらいいですね…。できれば自分の手が空くような感じでアルバイトさんが入れてくれた嬉しいですね。」

そして、つい最近、念願のアルバイトを雇い始めたという。アルバイトスタッフが成長すれば小松さんの負担も少し減るだろう。

だが、体力的にはハードでも会社員の時よりも今の仕事の方が合っているそう。

「私は会社員よりこっちのほうがいいですけどね。やるのは全


部自分なので自分次第かなって思いますね。」


もちろんお店をやる楽しさもある。

「いっぱいお客さんが来た時とか、おいしいって言ってくれる時とかですかね、嬉しいです。」


最後にお店をこれからどう発展させていきたいかを伺った。

「もっといろんな人に来て欲しいと思っています。まだ知られてないなって思うことがあって。近所の人でも、あったっけ?って言われることも多いから知ってもらって来てもらいたいな、っていうのはありますね。インスタとかツイッターとかだけだと及ばないところもあるから、それを日々やっていきたいなって感じです。」


小松さんは、西荻ではあまり成功例を見ないフランチャイズビジネスモデルで経営をしている。それも、このあたりの住民のほとんどが初めてその名前を耳にする、小さな独立系ブランドのフランチャイズ店である。 ブランド認知度もない、ビジネス経験もない、その上コロナ禍の真っただ中。これは危険な冒険になるかもしれない。 しかし小松さんは、その創造力と勤勉さで飲食業界における新境地の開拓者となる夢を実現しようだ。(ファーラー・ジェームス、野本愛、木村史子2022年6月15日)

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