西荻の深夜中華食堂

西荻窪南口から何分か歩くと「中華料理21」の姿が見えてくる。狭くて小さな店で、つい見過ごしてしまうのも無理はない。「中華料理21」のお客の収容量は多くて二十人。店の裏の部分とお客が使うスペースとの境はあいまいで、結局どっちがどっちなのかがだんだん分からなくなってくる。お客用のテーブルは、装飾用の木の枝が横に渡され、隣の席との距離が狭い。そして、お客用にもかかわらず、写真、キッチン用具、観葉植物が置かれている。

オーナーの欧張さんはこう言った。

「店小さくていい。私自分一人でやれる店が好き、やれる分だけやればいい。しかも、自分の好きのようにできるから。」

 

欧張さんは、戦後の中国移民の中でもかなり早い方の一人だった。1985年に来日し、当時ではかなりレアなことだった、留学生として来日した。

「留学生だった僕は。まだ覚えてるが、あの年、日本における中国人の留学生は二千七百人しかいなかった。結構少ないよ。」

大学卒業後、欧張さんは証券会社に務めることになった。

「90年代の初めに仕事探したのが、あの時は本当に簡単。人不足でね。そして1997年に、金融不況。私の勤めていた証券会社は倒産し、私の運命もそれから全部変わった。それで、飲食業に入り、そこから二十年飲食をやってきた。」

欧張さんは、なぜ飲食業を選んだのかも説明してくれた。

「最初はしたくなかったけど、でも仕事探さなければならないからさ。色々な会社を面接したが、ちょうど中華料理をやっている会社にも面接して。『あなた中国語いいから、中国人のシェフたちみんな仲良くして、働いてくれれば大丈夫よ』って言われて。『料理できなくでもいいから、ホール手伝ってくれればいいや。ゆっくり勉強すれば大丈夫』って言われたから、そこに決めた。給料も悪くないよ、証券会社と同じくらいだった。」

 

私が「中華料理21」に到着すると、欧張さんは新鮮なコーヒ豆を引いてコーヒーを淹れてくれた。

「コーヒーも売るよ。日本人コーヒー本当に大好き。」

彼はそう言った。中華料理店で本格的なコーヒーを提供しているのは、当然だが滅多にないケースだと思う。コーヒー以外の他の料理はごく普通の中華料理だ。麻婆豆腐や、チャーハン、ラーメン、餃子などがメニューが載っている。

 

欧張さんの店は、十二時から次の日の朝五時まで営業している。彼は自分の店をはじめてからの話もしてくれた、

「飲食、そして自分の店をやってなければ絶対分からなかった話だが、人間は、自己管理ができない人が本当に多い。酒に依存症のある人、山ほどいる。大きい店だったらめったにいないけど、こういう小さいところでは自由がきくから、喧嘩、逮捕まであるよ。頭を瓶で割ったり、この壁頑丈よ、頭ボンって押されたり、ガラスコップ食べたり、鼻に箸を刺して、鼻血出して、ずうっと泣いたり。男も女の子もいるよ。逮捕まで。仕事やめさせられるまで。クビね。会社から『あんたなんてもういらない、酒臭いよ。』みたいな。荒いこと見てるから、悲しいよ。」

 

私は、なぜこういうことがあるのかと聞いたときに、彼はこうこたえた。

「日本は、数字追求、成績、売り上げの追求の社会。だから頭疲れる。みんな誰も簡単ではないね。私、日本好きよ。でも日本、本当に疲れる。日本人働きすぎ。」

欧張さんは目の前のコーヒーを見て、笑いながらこう言った。

「だからコーヒーを飲むべきよ、コーヒーは酔っ払わないから。」

 

こんな話をしてくれた欧張さん自身が、いまだに日に約十八時間働いているそうだ。 彼は "生計のために"それをしなければならないと言う。中華料理21のような小さなレストランは、確かに栄養補給と仲間がいる場所である。 しかし、不安定な都市生活のストレスや疎外感も反映している。 所有者の労働条件でさえ、これらの緊張を反映している。これは、私たちがインタビューしたほとんどの人々について言えることだ。 しかし、深夜の中国料理の食堂のホットコーヒーと焼きそばは、一瞬の休息を提供してくれる。(劉、ファーラー、木村、7月3日2017)

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