高齢者による活発な町づくり

食文化と町つくりのストーリーにおいて、主人公は若者だと考えられがちであるが、現在の高齢化が進む都市社会の中では、高齢者の役割りこそ注目するべきだ。町の高齢者の食は、健康と福祉の面からだけ見るのではなく、食事時間が文化生活と社会参加という面に強くつながっている見るべきだ。

西荻のNPOももの会は西荻を中心に高齢者の食生活を大きな視点でとらえ、ふたつの場所で経営している。一つは、桃井第三小学校の校舎の中で高齢者と子供たちが交流する機会を作るための「桃三ふれあいの家」である。もう一つは毎日家庭料理を提供する「かがやき亭」だ。

ランチタイムのかがやき亭は「日替わり弁当」、「日替わり定食」「焼き魚定食」「お刺身定食」などを提供している。ごはんは白米と玄米から好きな方を選ぶことができる。使っている玄米は福井県産。「安心して食べてもらいたいから、お魚などの食材も、近くのお店から買っている。知っているお店なので、安心。」店主の福田さんはそう言う。かがやき亭では、一人で来る高齢者の方が少しでも入ってきやすいように、ということにも心を配っている。「お年寄りばかりだとつまらない」と思う方もいるので、働いている人や、若い人などにも入ってきてほしいと考えている。実際、そういう方々もたくさん食べにくる。東京女子大の先生もやってくる。学長さんも来たことがあるそうだ。

かがやき亭は 昭和の和風料理店の雰囲気を持つ店構えだ。もともと蕎麦屋だった店を改装したとのこと。 その蕎麦屋をやっていたビルのオーナー小林さんは、ほぼ毎日やってくる。彼のお父様がここで56年間蕎麦屋をやっていたそうだ。かがやき亭で使っているテーブルは蕎麦屋のときからのテーブル。立派な欅(けやき)の一枚板で、貴重なものだそうだ。

ここでは、食堂だけでなくて地域の方々の交流の場も想定している。夕方は、「ミニコンサート」、「講演会」、「仲間の集まり」のために店を貸す。かがやき亭主催で、「囲碁」、「絵手紙」、「歌」、「手芸」、「書道」、「健康麻雀」なども行っている。絵手紙教室は参加者が多く、20人くらいいらっしゃるそう。 先生は二人、ボランティアでやってくださっている。参加費は一回500円 。歌の会は15人くらい。店にあるピアノに合わせて歌う。歌集も先生たちがボランティアで作っていて、歌唱指導もしてくださるそうだ。歌は昔からある歌。高齢の方が多いので、昭和の歌がほとんどである。先生の一人はプロのピアニスト、もう一人は平尾正明さんという方のお弟子さんの音楽家。どちらも現役の音楽家であるが、時間をつくって来てくださっている。こちらも参加費は1回500円。ほとんどの参加者は近所の方だそうだ。

イベントに参加する方の7~8割が女姓である。「でも、男性を参加させるのが大切」と福田さん。男性の場合、付き合いは会社関係だけの場合が多く、定年になってうちにもどると、付き合う人がいなくなってしまうということがしばしばおこる。そして、男性たちにとって友達をつくることは難しい。働いているときは仕事で忙しくて、なかなか友達付き合いができない。そして、そのまま定年を迎えてしまうのである。

しかし、毎日やってくる男性たちもいる。一人は奥様が近くの病院に入院されている画家さん。お住まいは新宿の百人町。かがやき亭に彼の絵が飾られている。水戸美術館でも展覧会が開催された。綿を使って描いた油絵。誰もやってないやり方でやりたかったので、筆では描かなかったそうだ。毎日うちで描いているそうだ。ここ、かがやき亭で原画展も開催した。かがやき亭には、ここがお蕎麦屋さんだった時からほとんど毎日来ていらっしゃる。奥様が入院されてもう13年になるので、もう13年通っているわけだ。

コーヒー豆焙煎の「アロマフレッシュ」の安藤さん、104歳も、たまにここに食べに来られる。ここで出しているコーヒーは「アルマフレッシュ」の豆で淹れたものだ。
なかなか個性的な面々の男性たちがやってきている食堂でもある。

かがやき亭では、今後、今うちにこもっている男性達にもどんどん参加してもらい、町のコミュニテーとしてもっと活性化した場所にしていきたいと願っている。今後の展開が、とても気になる「町の場」となりそうである。(ファーラー、木村、11月12日2015年)

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